ヨボみへ

　お久しぶりです。お変わりありませんか？（笑）実は最近、ヨボみのことを街中で見かけてさ。誰かと一緒みたいだったから声をかけなかったんだけど、「あ！ちょっと老けたな！さすがに！」とちょっと感動し、手紙でも書こうかなと思い立ったわけです。住所以外の連絡先は全部消しちゃったから、連絡手段が手紙しかないんだよな（笑）。

　もう二人が別れてから、22年も経ったんだね。あっという間な感じがします。ヨボみは、今でもmixiをやっていますか？あのころのヨボみはmixi漬けで、あまりの日記の更新頻度と、それ以上の「足あと」のチェック頻度に、結構引いたのを覚えています。なつかしいですね。

　別れという言葉を出して思い出した。ヨボみはうちらが別れたとき、どういうことが起きたか覚えてる？付き合ってからしばらくはすごく仲が良かったけど、少しずつ喧嘩とかピリつくことが増えたよな。それで、たまに別れが話題に上がることもあった。ヨボみは、まだ立て直せるのかもう未来がないのか判断がつかないって言っていたけど、おれもそうだったんだよね。それに、ヨボみは責任感が強いし、おれを傷つけたくなかったはず。「一生、光哉だけがいればいい」なんて付き合ったころに言っちゃったものだから、頑張ってくれたのかな（笑）。もうこの関係には未来がないな、立て直せないな、とはっきりしはじめてからもなかなかヨボみは「別れよう」とは言わなかった。だから、おれから別れようって切り出した。そうしたらヨボみもようやく「私もそう言おうと思ってた」って言ってくれたけど、本当だろうか（笑）。でも、お互いによく頑張ったよ。

　別れるときの細かい話はともかく、全体的に、二人が最終的に別れることになったのはなぜなのかなってよく考える。でもあれこれ考えてみても、実は、あまり決定的なものは思い浮かばないんだよな。最初は上手くいっていたしさ。あえて言えば、ヨボみってプライドが高いから少しキツかったかなぁって思うけど、それがそこまで大きなことだったとも思えない。まぁ、まだ若かったっていうだけなのかな。若いから理解も浅いし、成熟してないし、角が立つことをしがちだから。そういう意味では出会いのタイミングが悪いだけで、３０歳で出会っていれば上手くいったのかもしれない。

　ヨボみは今ごろ、内面も外見も、あのころより素敵な感じになってるんだろうね。何気に物事のツボを押さえるのが上手なほうだしな、時間が経てばイイ方向にしかいかないよ、きっと。昔からモテたけど今はもっとだろうなぁ。あとさ、大きなお世話だと思いつつ言うけど、ヨボみは強さばかり成長させるんじゃなくて、弱い人の気持ちをもう少し考えたほうがいいと思うよ。そのほうが絶対に今よりモテるから。

　こんなの面と向かっては言えないけど、おれさ、あのころ本当にヨボみのことしか考えられないぐらい好きで。あんなに好きになれたのは後にも先にもヨボみだけなんだよな。だから、ヨボみには心から感謝してる。おれにとってのヨボみは、意地っ張りなのに嫌いになれなくて、話の内容が濃くて、おれの元カノへの嫉妬心が半端じゃなくて（笑）。美化しすぎかもしれないけど、おれにはお日様みたいに見えていたんだよ、ほんと。あとさ、デートで、ヨボみが行きたがったところにいろいろ行ったよな。近所の公園、スーパー、駅ビル…。なんか近所しか思い出せないけど（笑）、近所でも、何をしていても、この二人だからこそ楽しかったなって思うよ。

　長いよね、手紙…。自分でも長いと思う。もうすぐ終わるから最後まで読んで（苦笑）。えーと、そうそう、ヨボみって社会に出てからは調子どう？あのころの才能を存分に発揮してる？おれさぁ、ヨボみの持ってる才能とかポテンシャルを大尊敬してたんだよな。でも当時から気になっていたことがあって。あのさ、ヨボみって、脳のエンジンの性能に対して、ちょっとガソリンの供給が少なすぎるんじゃないかなって。簡単に言えって？すごい力があるのに心のエネルギー源が不十分で、競争心も不十分で、宝の持ち腐れになったりしてって思ったんだよなぁ。だからどうなったかなって、ちょっと心配。

　それでさ、実は言いたくないお知らせがあるんだけど（笑）、実はおれ、もうすぐ結婚するんだよな。「だから何」って話だが。相手がどんな人かというと、彼女はどこを取ってもヨボみと正反対の人。ちゃらんぽらんで、自分を律していて、生活はキッチリ丁寧で…みたいな（笑）。普通に考えたら問題ない相手なんだけどね。この人と結婚したいわけではない。

　あー、なんか書いてて落ち込んでしまった。それはいいとして、結婚してしまう前に一回会えないかな？それはさすがにまずい？まずいよなぁ。ヨボみがおれと復縁したくなったら、駆け落ちしなくちゃいけないしなぁ。…………って、うむ、冗談。ごめん。あ、そうだ、ヨボみがあちこちでおれを撮ってくれた写真がまだあったから、同封しておく。連絡先も書いとこ。

　それじゃ、遠くからヨボみの健康と幸せを祈っています。やり直したくなったら連絡してくれてもいいよ。では、後にも先にも一番好きだったヨボみ、たぶんもう会えないから、サヨナラ！幸せに。

　令和7年11月11日　野口 光哉
　EMAIL：hayaku_mukaeni_kite_help@*****.jp

P.S.あのころ「おれがおっさんになっても好きって思える？」って聞いたら「おっさんの種類による」って言ってたよな。どんな感じになっても好きだよって言ってほしかったなぁ。